INTERVIEW 導入事例・インタビュー

ウェルビーイングとワーク・エンゲイジメントで
社員の「成長実感」を促進する

今回は、一般消費者に向けた有機野菜や無添加加工食品などの安全性に配慮した食品宅配サービス「Oisix」を運営するオイシックス・ラ・大地株式会社様に、弊社のWebアプリ(WELL-BEING CHECK Plus)と研修プログラム(ウェルビーイング & ワーク・エンゲイジメントについて)をトライアル導入した背景や取り組みの感想についてお話を伺いました。

オイシックス・ラ・大地株式会社様

HR本部のお二方にご協力いただきました。 
石井一也 様(HR本部 キャリア支援室 室長)
原美幸 様(HR本部 シニアキャリアコンサルタント)

左から、原様、石井様

今回の、TFRの「ウェルビーイングとワーク・エンゲイジメントに関するプログラム」試行の理由や背景について教えてください。

石井様:
社員の健康や幸福度が業務パフォーマンスや組織の生産性に大きく影響するという認識があったからです。加えて、多くの社員が仕事に目的意識や働きがいを求める傾向を強めており、それらをサポートするための具体的な取り組みが必要だとも感じていました。そこで、組織全体として「持続可能なキャリア」や「働きがいのある職場」を構築するための第一歩として、このプログラムを試行してみることにしました。

「持続可能なキャリア」という言葉は少し分かりにくいかもしれませんが、簡単に言うと、「長く働き続けるためにはどうすればよいのか?」ということです。人生100年時代を迎え、会社員生活や職業人生が長くなる中で、キャリアは自分でデザインするものだという考え方が当たり前になってきています。キャリア自立としてスキルアップを続け、転職を通じて自分の市場価値を高めるという方法もありますが、一方で、今いる組織と良好な関係を築き、その組織で長く働き続けるという視点も大切だと思っています。

そのためには、健康や組織貢献に加え、サステナブルキャリアの柱の一つである「ウェルビーイング(幸福)」が重要なポイントになると私は考えています。従業員一人ひとりが組織に自分の居場所を見つけ、良好な関係を築きながら長く働き続ける考え方は、ウェルビーイングと深く関わっていると思います。

また、持続可能なキャリアにおいては、単に長く働き続けることが目的なのではなく、自己実現や貢献感などの要素も重要になると考えています。「働きがい」には、自分が組織に必要とされている感覚が含まれており、それが従業員の幸福感につながると考えています。そういった意味でも、持続可能なキャリアを考える上で、ウェルビーイングは欠かせない要素の一つだと思っています。以上が、今回のプログラムを試行してみようと思った理由や背景です。

「働きがい」と幸福感の関連から、御社ではウェルビーイングに着目されていると。では、「ウェルビーイングな職場」を目指す動きの中で、「働きやすさ」と「働きがい」は両立するとお考えでしょうか?

原様:
両立させるべきだと考えています。働きやすさも働きがいも、従業員がどのように感じるかが本質であり、どちらか一方だけでは不十分だと思います。どちらかが欠けると、従業員にとって居心地の悪い職場環境になり、長期的な定着や組織貢献の実感が難しくなるのではないかと思います。働きやすさが整っていることで従業員が安心してチャレンジできる環境が生まれ、結果的に働きがいへとつながっていくのではないかと考えています。
 
石井様:
同感です。例えば、離職率が高い職場であっても、定着率が高まるケースがあります。たとえ大変なことがあっても、周りが気持ちを理解し、寄り添い、励まし合う環境があれば、「働きやすさ」は格段に上がります。そして、その基盤があるからこそ、次のステップとしてスキルが身につき、自信につながり、最終的に「働きがい」を感じられるようになるのではないでしょうか。

働きやすさは、人とのつながりの中で生まれるものだと思います。信頼できる仲間がいるからこそ、自分の成長やキャリアを考える余裕が生まれる。逆に、働きがいだけを追い求めても、人間関係や環境が整っていなければ長く続けることは難しいかもしれません。バランスを大切にしながら、持続可能な働き方を考えることが大切だと思います。

働きやすさと働きがいのバランスですね。今回、実際にウェルビーイングに関するプログラムを体験してみて、いかがでしたか?

原様:
従業員目線では、自分のウェルビーイングを意識的に考える良い機会になったという声が多く寄せられました。また、人事目線では、従業員が自分の働き方や職場環境について、改めて深く考え始めるきっかけを提供できた点でとても有意義だったと感じています。

特に、ウェルビーイングに関するプログラムで印象的だった点は、幸せにはさまざまな種類があることや、自分が幸せを感じる傾向を客観的に理解できたこと、そして思っている以上に幸せを感じられる視点があるということを学べた点です。ウェルビーイングに関する自分の傾向や自分とは異なる他者の傾向については、今まで意識すらしていなかったことなので、新しい発見があったと感じています。

日常生活の中で起こる些細なことであっても、後から思い返してみれば、ウェルビーイングの一つだったかもしれないということに気がつくことがありましたし、意識はガラッと変わりました。普段の生活の中でウェルビーイングを意識してみると、今までにはない新しい発想が生まれるなと感じました。思考の訓練にもなりましたし、新しい脳の使い方を発見できたとも思っています。日常のウェルビーイングを意識するようになってから、ストレスの感じ方が少し和らぐようになった感覚もありました。
 
石井様:
人事の目線で言えば、あらゆる職場において、周囲との人間関係で悩む従業員が最も多いと思っていますが、そういった難しさがありつつも、良い人間関係をメンバーで協力して作っていけることが、ウェルビーイングな職場に繋がると思っています。ギスギスした人間関係の中、メンバー同士が批判し合っている環境というのはウェルビーイングであるとは思えませんし、ただ給料が多いから、こういう資格が取れるから、自分のキャリアアップがかかっているからといったことのみに注目して、不満がある現状を我慢しようとする発想は、持続可能ではないと思います。ですから、やはり働きやすさ・働きがい・ウェルビーイングといった要素を、強い組織を作る・維持するための土台としてこれまで以上に意識していくべきだと思います。そういった意味においても、今回のプログラムを通じてウェルビーイングに関する自己理解が進み、働き方や職場環境について考える機会を作れたことは大変良かったと感じています。

今回のプログラムの内容以外でも、御社がウェルビーイングの構築やエンゲイジメントの向上を目指すうえで、大切にされているポイントを教えてください。

石井様:
「組織として業績も伸ばしながら、働く社員が幸福感ややりがいを感じられる状態をどう両立させるか」がポイントだと思います。そのために大事なのが「成長実感」。つまり、働く社員が「以前はできなかったことができるようになった」とか、「1年前の自分よりステップアップしている」と感じられることです。成長を実感できると人は「もっと頑張りたい」と思うようになるし、それが結果的に会社の業績向上にもつながります。そういったバランスを大切にしたいと考えています。

そして、社員の成長したい方向性が、会社のミッションとしっかりリンクしていることも重要だと思っています。社員一人ひとりに想いや考えがあっても、それが組織の目指す方向と上手く噛み合っていなければ、お互いにメリットがなくなってしまいます。そこで私たちは、年代別のキャリアセミナーなどを通じて、会社の目指す姿と社員個人の成長をどう重ね合わせていくかを考える機会をつくっています。以上のようなことを意識・実践しながら、ウェルビーイングの構築やエンゲイジメントの向上を目指していきたいと考えています。

では、そのような「バランス」や「リンク」の実現のために、今後、管理職やマネージャーに期待したいことがあればお聞きしてもよろしいでしょうか。

原様:
今回のプログラムを通じて、管理職がいろんな視点や価値観を持つ大切さをあらためて痛感しました。部下は一人ひとり違う個性を持っているので、いろんな可能性や選択肢を示せる上司がいると、より豊かなマネジメントができます。「こうしなきゃいけない」と一つの答えしか持たないより、「こんな見方もあるよ」と複数の道を提案できるほうが、部下も安心して相談しやすいと思います。

また、ワーク・エンゲイジメントの研修では「ウェルビーイングの理論を活かした1on1面談」の進め方を学びました。業績目標だけでなく、部下がどうすれば幸せに働けるのかを一緒に考えることで、結果的にパフォーマンスも上がりやすくなると思います。このように「ウェルビーイング」と「成果」の両立を意識したマネジメントを、これからもっと広めていきたいと考えています。その流れを推進する役割を管理職やマネージャーには期待したいと考えていますし、その流れを支援するための動きを私たちは精一杯進めていきたいと思っています。

ありがとうございます。では最後に、御社がこれから大切にしていきたいこと、取り組みたいことについてお聞かせ願えますでしょうか。

原様:
従業員が働きがいを感じながら成長していくプロセスを大切にしたいと考えています。会社の成長は従業員の成長の上にしか成り立たないと思っていますので、社員の成長こそが会社の成長という考えをキーワードにしています。人を信じて投資をする姿勢がなければ、会社は衰退してしまいます。人材を信じ、活かすということを重視していきたいです。

石井様:
私たちが今後取り組みたいことは、必ずしも体系的・制度的に確立しているわけではありません。そのため、まずはマネージャーに対してウェルビーイングの観点で1on1を行う重要性を伝え、さまざまな捉え方・視点をもった面談ができるようになるための教育研修を充実させたいと考えています。ウェルビーイングを意識した1on1を組織として継続的に回す仕組みを、人事が中心となって作っていくことが必要だと思っています。

また、グループ企業間での人材交流を進め、シニア世代を含む従業員が新しいキャリアを築けるようにし、組織内で人材が流動化できる環境を作りたいと考えています。人材の流出を抑えるだけでなく、エコシステムのような形でさまざまな経験を積める場を提供することが大切だと思っています。その前提として、私たち自身の組織が魅力的であり続けることが必要ですし、それがウェルビーイングや成長実感と強く結びついていると思います。今後もウェルビーイングや成長を意識したマネジメントや研修を継続し、よりよい職場環境を目指していきたいと考えています。


(インタビューは2025年1月31日に実施しました)

インタビュー後の感想

今回のインタビューを通じて、オイシックス・ラ・大地様がウェルビーイングやエンゲイジメントを重視し、持続可能な働き方を模索していることがひしひしと伝わってきました。現在は、具体的な施策の検討段階にあり、「働きやすさ」と「働きがい」の両立や、管理職がウェルビーイングの視点を取り入れた1on1面談をどのように実践していくかについて模索が続いています。また、組織の成長と従業員のキャリア形成をどのように結びつけるかや、グループ企業間での人材交流の可能性など、幅広い観点から議論が進められており、今後の展開が注目されるところです。ウェルビーイングの実現は、一朝一夕で成し遂げられるものではないと思っています。しかし、こうしたオイシックス・ラ・大地様のような試行錯誤の過程こそが、より良い職場環境づくりの第一歩であり、これからの企業経営において重要な意味を持つのではないかと思います。今後、実際の取り組みがどのように形になっていくのか、そのプロセスから学べることも多いのではないかと感じました。

(株式会社スリーフィールズ・リサーチ代表 兵頭保之)

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