現代の企業経営において、従業員の「ウェルビーイング(幸福・健康)」と「エンゲージメント(仕事に対する熱意)」は、企業の成功において重要な要素として認識されています。しかし、この二つの概念はしばしば混同されることがあります。本記事では、ウェルビーイングとエンゲージメントの違いを明確にし、その重要性と企業における実践方法について詳しく探ります。
ウェルビーイングとは何か?
1.定義
ウェルビーイングは、従業員が身体的、精神的、感情的、社会的に健康である状態を指します。これは単なる病気の有無ではなく、全体的な生活の質や幸福感も含まれます。
2.主要な要素
〇身体的健康
・適切な運動、バランスの取れた食事、十分な休息
・定期的な健康診断と適切な医療ケアの提供
〇精神的健康
・ストレス管理、精神的なレジリエンス(回復力)
・メンタルヘルスケアプログラムの導入
〇感情的健康
・ポジティブな感情の維持、自己肯定感の向上
・感情の表現とサポートのための安全な環境の提供
〇社会的健康
・良好な人間関係、職場のコミュニティへの帰属感
・チームビルディングやソーシャルイベントの促進
3.ウェルビーイングの重要性
ウェルビーイングが高い従業員は、仕事に対する満足度が高く、ストレスが少なく、生産性が向上します。また、健康的な従業員は欠勤率が低く、医療費も抑えられるため、企業にとってもコスト削減につながります。さらに、ウェルビーイングが高い従業員は長期的に企業にとどまる傾向が強く、離職率の低下にも寄与します。
エンゲージメントとは何か?
1.定義
エンゲージメントは、従業員が仕事や職場に対して持つ情熱やコミットメントの度合いを指します。エンゲージメントが高い従業員は、仕事に対して積極的に取り組み、自発的に企業の目標達成に向けて努力します。
2.主要な要素
〇感情的コミットメント
・仕事に対する情熱と熱意
・企業の価値観やビジョンに対する共感
〇行動的コミットメント
・自発的な努力や積極的な行動
・継続的な学習と成長意欲
〇認知的コミットメント
・仕事の目的や目標に対する理解と共感
・自身の役割と企業の戦略との関連性の理解
3.エンゲージメントの重要性
エンゲージメントが高い従業員は、生産性が高く、仕事の質も向上します。彼らはイノベーションを促進し、顧客満足度を向上させる力を持っています。また、エンゲージメントが高い従業員は企業への忠誠心が強く、離職率が低い傾向があります。
ウェルビーイングとエンゲージメントの違い
1.フォーカスの違い
〇ウェルビーイング:
従業員の全体的な健康と幸福に焦点を当てています。身体的、精神的、感情的、社会的な側面を総合的に考慮します。
〇エンゲージメント:
従業員の仕事や職場に対する情熱とコミットメントに焦点を当てています。主に仕事に対する態度や行動に関するものです。
2.測定方法の違い
〇ウェルビーイング:
健康診断結果、ストレスレベル、仕事と生活のバランス、従業員の幸福度調査などを通じて測定されます。
〇エンゲージメント:
エンゲージメント調査やフィードバックセッション、パフォーマンス評価などを通じて測定されます。
3.結果の違い
〇ウェルビーイング:
高いウェルビーイングは、従業員の健康改善、欠勤率の低下、医療費の削減などに繋がります。
〇エンゲージメント:
高いエンゲージメントは、従業員の生産性向上、顧客満足度の向上、企業の業績向上などに繋がります。
ウェルビーイングとエンゲージメントの相互関係
ウェルビーイングとエンゲージメントは相互に関連しています。高いウェルビーイングは従業員のエンゲージメントを高める要因となり、逆に高いエンゲージメントは従業員のウェルビーイングに寄与します。以下にその具体的な相互関係を示します。
1.ウェルビーイングがエンゲージメントを促進
従業員が健康で幸福であると感じることで、仕事に対する情熱やコミットメントが高まり、エンゲージメントが向上します。例えば、健康管理プログラムやメンタルヘルスケアの提供により、従業員は自分が大切にされていると感じ、仕事への意欲が高まります。
2.エンゲージメントがウェルビーイングを強化
仕事に対する情熱とコミットメントが高い従業員は、職場でのストレスが少なく、ポジティブな感情を持ちやすくなり、ウェルビーイングが向上します。例えば、明確な目標設定やフィードバックを通じて、従業員は自分の役割に対する理解と共感を深め、満足感が高まります。
企業における実践方法
1.ウェルビーイング向上の具体的施策
〇健康管理プログラムの導入
・定期的な健康診断の実施や健康相談窓口の設置
・フィットネスプログラムやスポーツイベントの開催
・健康的な食事の提供や栄養指導
〇メンタルヘルスケア
・ストレス管理セミナーやカウンセリングサービスの提供
・メンタルヘルス休暇の導入
・フレキシブルな勤務時間やリモートワークの推奨
〇職場環境の改善
・快適なオフィス環境の整備(エルゴノミクス家具の導入、休憩スペースの充実)
・仕事と生活のバランスを考慮した制度の導入(フレックスタイム、時短勤務制度)
〇キャリア開発支援
・スキルアップやキャリアアップを支援する研修プログラムの提供
・メンター制度やコーチングの実施
・公正な評価と昇進機会の提供
〇コミュニケーションの促進
・オープンドアポリシーの導入による上司との自由な対話の促進
・定期的なフィードバックセッションや一対一の面談
・チームビルディングイベントや社内コミュニケーションツールの活用
2.エンゲージメント向上の具体的施策
〇目標設定とフィードバック
・明確な目標設定と定期的なフィードバックを通じて、従業員の役割と企業の目標との整合性を確保
・業績評価制度の透明性を確保し、適切な報酬と評価を行う
〇キャリア成長の支援
・従業員のキャリアパスを明確にし、成長機会を提供
・継続的な学習とスキル開発の機会を提供
〇感謝と認識
・従業員の貢献を認識し、感謝の意を示す
・インセンティブや報酬制度を通じて、従業員の努力を評価
〇組織文化の強化
・企業のビジョンや価値観を共有し、全従業員が一体感を持てるようにする
・開かれたコミュニケーションとコラボレーションを促進
結論
ウェルビーイングとエンゲージメントは、企業の成功に不可欠な要素であり、互いに補完し合う関係にあります。企業は、従業員のウェルビーイングを向上させる施策とエンゲージメントを高める施策を両立させることで、従業員の満足度を高め、生産性を向上させ、離職率を低下させることができます。これにより、持続可能な成長を実現し、競争力を維持することが可能となります。
企業が成功するためには、従業員の健康と幸福を第一に考え、彼らが仕事に対して情熱を持てるような環境を提供することが求められます。ウェルビーイングとエンゲージメントを重視することで、企業はより強力で持続可能な組織を築くことができるのです。
株式会社 スリーフィールズリサーチ(Three Fields Research)は、臨床心理学の視点から「新たなカタチのウェルビーイングプログラム」『WELL-BEING CHECK Plus』を開発・運営しています。このプログラムの普及を通じて、あらゆる人のしあわせの対話を支え、誰もがしあわせを語ることのできる世の中をつくりたいと考えています。一人一人異なるしあわせの在り方を理解し、日々のコミュニケーションを変えていくことで、離職率低下に繋げることが可能です。